第3章さあパートナー さあ独立 Vol.2
(リモート座談会 2022年6月)

吉田 健詞郎(左) 東弁 66期/桜井 康統(中央・司会) 二弁  66期/宮本 理史(右) 東弁 67期

バランス感覚が大切

中西:ところでお二方は、現在どのような保険に入られていますか?

E:私は生命保険と死亡保険、互助年金に加入しています。生命保険は運用型のものですが、現在は保険料の支払いを継続していませんので、一定の年齢になったら払い済みの分が戻ってくる貯蓄を持っているようなイメージになります。保険としては自分にはあまり合いませんでしたが、人脈の豊富な保険屋さんとつながりを持つことができ、実際に案件を紹介してもらったりもしたので、そういう意味での価値はあったと思っています。あとは、マンションを購入したので団信に入りました。これはいざというときに妻に財産を遺すという意味で、非常に有効な保険だと思います。

D:私は生命保険と年金保険、学資保険代わりの終身保険に加入しています。信頼できる知人に保険の外交員がいてすべてお任せしてしまっているので、これを機に少しは自分でも考えないといけないなと反省しているところです。

中西:仕事のための保険はどうでしょうか。お二人とももちろん弁賠には加入していると思いますが、サイバー攻撃に対応したオプションがあるのはご存じでしたか?

E:いいえ、今回初めて知りました。資料を拝見しましたが、サイバーリスクの高い大手事務所はぜひ加入したほうが良さそうですね。

中西:独立すると、家賃や人件費などの経費が必要になってきます。いざとなったときに事務所が維持できるよう、例えば所得補償保険などは独立を機に入ることの多い保険だと思いますが、お二人とも入られていないようです。加入しない理由などはありますか?

D:加入している生命保険にがんやうつなどの場合の補償も盛り込まれているので、それで何とかなるかなという感じで呑気に構えてしまっています。ただ、先ほども言ったように保険についてしっかり自分で検討したことがないので、所得補償保険も含めて少し調べてみたいと思います。

E:私は健康には人一倍気を使っているという自負があり、仕事ができない状況になるというビジョンがあまり見えていません。弁護士はたとえ手足を骨折しようとも業務できますし、仕事ができなくなるとしたら、がんなどの重い内科的病気を患って余命いくばくもないという状況くらいしか思い浮かびません。

その可能性の低さを考慮すると、自分には所得補償保険は必要ないかなという考えです。保険自体はいい商品だと思うので、必要な方にとっては加入の価値のあるものだと思いますが、あくまで個人的な見解として、自分には今は必要ないかなという感じです。

中西:なるほど、そういう考え方も確かにありますね。しかし、どんなに気を付けていても降りかかるリスクというのはあります。事務所も家庭も守らなくてはいけない立ち位置にいるからには、保険によるリスク回避というのも一考の余地があるのではと思いますがどうでしょうか。

E:弁護士はいずれ自営業になる前提の職業ですから、初めての給与が入ったときから証券用の口座を作って米株の投資信託を始めるなど、少額でもいいのでコツコツ資産を増やしていくことをやるべきだと思います。もちろん保険を考慮することも重要で、保険・貯蓄・株・不動産など、どれも「それだけ」ではなく、バランスよく対策することが大切だと思います。

中西:年齢とともに、自己資産もリスク度も変化していくものですから、その時々で保険を含めたバランスをどう形成していくのか、考え続けることが大切ですね。

これから独立という
ステージに進む後進へ

E:固定概念にとらわれない柔軟な視野を持つことが大切だと思います。新しい何か、よくわからない何かに出会ったとき、すぐに壁を作るのではなく、いったん受け入れてみる。例えば最初の印象で「ん?」と思った人物でも、踏み込んでみると実はすごい人だったり、面白いことをやっている人だったりする。そうすることで自身の幅も広がり、色々な見方ができるようになると思います。

D:私自身も試行錯誤を繰り返しながら一歩ずつ進んでいるような状況で、決して偉そうに「独立しても大丈夫ですよ」と言える立場ではありませんが、最近は独立に消極的な若手も多いと聞きます。そのような方々には、弁護士としての活躍の場というのはもっと広いんだよというメッセージを伝えたいです。

BACK NUMBER
座談会「さあパートナー さあ独立」
上へ戻る