書籍出版事業プロジェクトチーム委員
日本経済の要は中小企業であるとも言われており、数々の優れた製品、技術、人材などが中小企業から生み出されています。しかしその一方、後継者不足、資金不足等で事業の継続が困難な状況に陥っている中小企業も増加しています。
このような問題が我々弁護士に持ち込まれることもしばしばですが、破産に至らない案件の場合には、廃業を勧めてしまうというのが現状です。この状況が続けば、日本経済の活力そのものにダメージを与えかねません。破産か、廃業か、という選択肢に、新たにM&Aという視点を加え、中小企業を生き残らせることは、日本経済にとって大いにプラスになるのは間違いないでしょう。
M&A活用は、中小企業庁等によってガイドラインが制定され、ようやく環境が整ってきた取組みです。この規定を受けて士業がM&Aに携わること自体が未知の領域であり、これまでは啓蒙すらされていなかった分野です。しかしM&Aの実施にあたっては法務、税務、事業性評価等の専門的知識が必要となるため、この分野における弁護士の業務は今後増加するであろうと思われます。 本書は、M&A取引による中小企業の第三者承継を扱ったチャレンジングな書籍です。 事業承継問題を扱う弁護士であれば、今後不可欠になって来るであろうM&A活用の試金石として本書をご活用いただければ幸いです。
書籍出版事業プロジェクトチーム副主査
弁護士業務は多岐にわたりますが、中でも売買契約、遺産相続等々、さまざまな取引に関する案件というものは少なくありません。こういった案件には民事法の知識だけで解決できるケースはほとんどなく、税法の知識が必ず必要となってきます。
しかしながら、租税法を苦手とし、敬遠する弁護士も少なからずいるというのが現状です。「税の話は分かりません」といって税理士に丸投げでは、顧客の信用を失うばかりか、妥当で最善の解決を導き出すことができません。
本書は、法科大学院にて租税法について約10年に渡り教鞭を振るってきた著者が、「弁護士にとっての税の大切さ」を啓蒙するために筆を執った一冊です。
税務調査への関与の仕方から訴訟手続き、税理士との上手な付き合い方まで、租税訴訟に関わる業務のすべてが網羅されており、これ一冊で租税法のあらゆる手続きの専門家になれるほど充実した内容に仕上がっています。
監督官庁がなく、国家と対等に論争できる職業、それが弁護士です。健全な民主主義国家を構築し、公正な法律家の立場で不当な課税から納税者を守るためにも、ぜひ本書をご活用のうえ、租税法についての見識を深めていただければと思います。この本をきっかけに一人でも多くの「税に強い弁護士」が増えてくれることを願っています。
高齢者をめぐる法律問題研究会メンバー
我が国は世界でも指折りの高齢化社会であり、現在では人口の約4分の1が65歳以上の高齢者だと言われています。必然的に、弁護士業界で取り扱う高齢者問題も数多く発生することになります。また、直接的な高齢者問題の案件でない場合でも、例えば依頼人やそのご家族に高齢者がいらっしゃるなど、高齢者との関わりは避けては通れません。
本書は主に若手弁護士を対象に、高齢者問題を幅広く、そしてわかりやすくまとめた入門書ですが、「さまざまな高齢者問題を知る手引き」としての性質上、熟練弁護士はもちろん、高齢者福祉に携わる一般の方々にも、広く愛読していただける内容に仕上がっています。
これまでにも高齢者問題を取り上げた書籍は数多く出版されていますが、本書には現役弁護士が実際の業務で得た経験や知識がふんだんに盛り込まれているのが特長です。それらを「相談事例とその回答」という形で解説し、さらに書式やミニ知識も随所に取り入れており、実務に活用しやすく編集されています。
もちろん、加速する高齢者問題を受けて日々変遷を遂げている法や制度も加味し、最新の情報を元に執筆されていますので、安心してお使いいただくことができます。
今後ますます深刻化すると思われる高齢者問題を見据え、本書を高齢者問題と向き合う道標としていただければ幸いです。