書籍出版事業プロジェクトチーム主査
弁護士事務所の窓口であり、弁護士の片腕ともいえる事務職員。
その質の良し悪しで、顧客の事務所に対する印象が変わってしまうと言っても過言ではないかもしれません。
一般企業の事務職員にはない特別な知識や対応を求められることも多く、また、誤った対応は事務所そのものの信頼を失墜させることにもなりかねません。
そこで、「弁護士事務所の事務職員」としてのスキルを磨く必要があるわけですが、さまざまな状況を想定して事前に教育するには膨大な時間と手間がかかります。
想定漏れも多く発生し、実際は「問題が発生してから改善する」という、後手後手の対処になってしまうというのが実情ではないでしょうか?
そこで、お役にたてていただきたいのが本書です。
何年もかけて構想を練り、ようやくこの度、出版の運びとなりました。
実は本書は二弁の出版物ですが、これを東弁協叢書として出すという初の試みで、そこからも、本書への期待度の高さが伺えます。
実務の現場で役立つ実例をQ&A形式でまとめており、電話対応などの基礎から専門的なものまで、幅広く網羅されています。たくさんの現役、ベテラン事務職員の体験を元に作成しているため、事前には想定し難いような事例も数多く掲載されています。一通り目を通すだけで、事務職員スキルの底上げにつながり、さらに対応に迷ったときに開くバイブルとしても実力を発揮する一冊です。
ぜひ、皆様の事務所に備えておいていただけたらと思います。
家事事件手続についての基本的事項の整備が充分ではなく、運用も煩雑、利用者に対する配慮や公平性、透明性も不充分であるなど、改正前の家事事件手続に関する法的規制には多くの問題点がありました。
新たに制定された家事事件手続法では、家庭裁判所の後見的機能及び職権主義という基本は維持しつつも、これまでの問題点を改善すべく工夫されており、画期的な法整備であるといえるでしょう。
本書は、裁判官経験もあり家事事件に精通した弁護士が、経験と知識を集約した、非常に内容の厚い珠玉の一冊です。
家事事件手続法の概説をまとめるだけにとどまらず、その精神や改正コンセプトにまで言及し、家事事件手続法を深く洞察しています。
さらに、具体的に実務にどのように影響するか、典型的事例を豊富に挙げ、丁寧な解説を行っています。
そのため、家事事件手続法の知識を深めるための書物としてはもちろん、実務の現場での辞書的ツールとしても、大いに役立つものと思います。
すでに家事事件手続法についてまとめられた出版物もありますが、本書ほどに事例が充実し、改正直後の過渡期だけでなく、定着後も長く使える充実した内容の書籍は他に類を見ないのではないかと思います。
「何度も手に取る使える一冊」として、長く皆様のお役にたてれば幸いです。