令和3年11月26日、YouTubeLiveにて、第2回民事保全ボンド研修会が行われました。
弁護士協同組合がご用意する民事保全ボンドとは、令和元年7月より開始された「裁判所への提供用担保として保険会社が保証書を発行する」制度です。保証金額全額を用意する必要がなくなるため、これまで供託金準備の問題から手続きを断念していたケースについても、積極的に保全事件の「仮差押え」「係争物に関する仮処分」手続きを選択していただくことが可能になります。
本制度の有用性を理解し、より多くの組合員に利用していただくために行われている本研修会。令和2年11月に行われた第1回研修会は東弁協組合員のみを対象として行われましたが、全弁協より全国展開のご要望をいただき、第2回目となる今回はYouTubeを使った全国の組合員を対象としたものになりました。
研修会は保険PTの中西 哲男主査司会のもと、18時よりスタート。民事保全ボンド制度のあらましが説明されたあと、菅野 茂徳副理事長、小林 美智子委員、さらには引受保険会社である損害保険ジャパン株式会社の中村 達彦様より、当制度のメリットや利用方法についての分かりやすい解説が行われました。
次いで、小林 美智子委員、佐伯 菜緒先生、井上 惠子先生が、実際に利用した際の体験談をお話しくださいました。
どんなケースで利用したのか、メリットや使い勝手、依頼者からの評価など、詳細なお話はリアルな体験ならでは。
特に、「依頼者にとって、とても利のある制度だった」「制度を利用しなかったら保全を打てない、あるいは少額になっていた可能性が高い」「手続きが簡単で、かつスピード感があった」といった感想は全員に共通しており、当制度活用の意義を改めて認識するものでした。東京以外の地域を含む多数の組合員にご参加いただき、20時の閉会まで2時間、内容の濃い充実した研修会でした。
なお、当日見逃した方にもご覧いただけるよう、当研修会の録画を全弁協ウェブサイトにて公開しております。ぜひご覧の上、当制度を業務にお役立ていただければと思います。
当日のまとめ
今年度の民事保全ボンド研修会 第2弾では、「ご参加いただいた先生方が、業務にすぐお役に立てていただける情報提供を!」をコンセプトに研修メニューを考えました。
最初に講師の先生方から、東京地裁への保全命令申立て事例を元に、何度も裁判所とやりとりしなくて済むポイントや、弁護士の多くが受任する、離婚に関する財産分与請求事件での裁判所から求められる疎明資料と必ず確認すべき点のレクチャーがありました。
続いて、民事保全ボンドを活用した2人の先生から、希望通りに事件対応を進めることができ、クライアントから非常に喜ばれた体験談の披露がありました。
本研修を通じ、民事保全ボンドの活用が、弁護士業務にたいへん有効な武器であると、改めて再確認ができた研修となりました。
視聴された方の感想
- リモート開催だったので、たいへん参加しやすかったです。アーカイブも公開されるようなので当日都合が合わず参加できなかった事務所内の弁護士にも共有しました。
- 引受保険会社である損害保険ジャパンのアンケート調査報告で、利用弁護士の82%が本制度に満足した、全員がおすすめしたいと回答したことを聞いて満足度の高さに驚きました。
- この民事保全ボンドの存在は知っていましたが、今まで利用したことはありませんでした。重要なポイントに絞ったお話で理解しやすく、実例をたいへん興味深く聞かせていただきました。早速利用できるか検討したいと思います。
- 体験談を聞いて、この制度を知っていると知らないでは、クライアントへの解の提供に大きな乖離があると思いました。自分がこの制度を知らずにクラインアントに「供託金は現金のみ」と伝え、後にこの制度の存在を聞いたりしたら、信頼を失ってしまうので怖くなりました。