第1章いよいよ弁護士に(座談会 平成28年6月)

吉田 健詞郎(左) 東弁 66期/桜井 康統(中央・司会) 二弁  66期/宮本 理史(右) 東弁 67期

独り立ちも視野に入れて…。
新人弁護士の現実と抱える不安とは。

桜井:弁護士になってまだ数年の我々ですが、皆さんお仕事の状況はいかがですか?私は2年目から事務所からいわゆる固定給を貰わないようになり自分で仕事を得ていくようなスタイルで仕事をしています。1つの案件で固定給ひと月分を越すような収入を得られることがある反面、大きな仕事がない月は収入も少なく、弁護士という業界の難しさを痛感しているところです。

吉田:私は独立志向が強く、3年目の現在は個人案件と事務所の仕事を両方している状況です。かなりキツイですね。そろそろ今後の動向を決めていかねばと思っていますが、今はタイミングを計っているといったところです。

宮本:私はまだ事務所の事件が殆どで、個人事件は10%程度です。当然将来的にはパートナーや独立といったものも視野に入れて、今後のお客さまを増やさなくてはいけないとは思っているのですが、なかなか皆さんのようにバイタリティを持って取り組むことができず、まさに今悩んでいるところですね。目の前の事件に一所懸命取り組みながら少しずつ人脈を広げていけたらと考えています。

見落としがちな弁賠特約。
個人情報漏えいでの謝罪会見も補償!?

桜井:先生方は弁護士の仕事でつらい事はありますか?個人的な話ですが、私がつらいのは日々弁護過誤の可能性に怯えていることです。実際にヒヤッとした事も何度かあります。先生方は弁護士賠償責任保険には事務所のほうで加入していますか?

宮本:はい。もちろん私の事務所も万一に備えて入っています。

吉田:私の事務所も同様です。

桜井:幸いにして私はまだ大きな事故を起こしたことはありませんが、全弁協叢書の「弁護士賠償責任保険の解説と事例」を見るといろいろな事案が載っており、弁護士賠償責任保険の必要性を痛感しますね。

吉田:お客さまから預かった資料の原本を紛失したというヒヤリ・ハット体験を聞いたことがあります。幸い見つかって事なきを得たようですが、一歩間違えれば保険という話になっていたかもしれませんね。

宮本:誰もが起こしうる事案ですから、他人事ではないですよね。

桜井:紛失だけにとどまらず、流出、個人情報漏えいなどということになればもっと大変な事態になりますよね。弁護士賠償責任保険には個人情報漏えい特約というものもあるようですが、ご存知でしたか?

宮本:知りませんでした。個人情報の漏えいが原因の際には、特約を付けていないと保険金が支払われないということですか?

桜井:いいえ。賠償責任を負わされた場合には補償されます。ただ、個人情報漏えいの場合、流出情報が悪用されたなどの実質被害がなければ、賠償請求まで行かないケースもありますよね。しかし、その場合でも何らかの対策をする必要があるでしょう。例えば見舞金を支払ったりお詫びの会見を行うなどですね。そういった対応費用も補償されるのが個人情報漏えい特約です。

宮本:なるほど。取り扱っている業務の内容によっては必要性が高い特約かもしれませんね。

吉田:弁護士賠償責任保険は弁護士なら当たり前のように入る保険で、弁護士になってすぐ事務所を通して半ば自動的に加入している場合も多いため、逆にその詳しい内容については知らずに来ている人も多いのではないでしょうか。

桜井:全弁協の団体制度での加入率は73%だそうです。残る27%の中には弁護士資格は持っているものの、すでにリタイアした弁護士も含まれますし、団体制度を利用せずに個別に契約していらっしゃる弁護士もいるようですので、現役弁護士のほとんどが弁護士賠償責任保険に加入しているようですね。

宮本:常にリスクにさらされている我々弁護士にとって必須の保険であることは間違いありませんね。私も今回の座談会を機に弁護士賠償責任保険の内容について少し勉強してみようと思います。

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