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Vol.3

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遺留分算定計算シート

市野澤 要治(41期)

 耳よりな話が心そそられる飲食店が続いたので、ちょっとだけ、仕事にまつわる話をさせて頂こうと思う。
 10数年ぶりに一人で刑事事件を引き受けたが、何分にも一から刑事手続きを思い出すことが一苦労であった。
刑事弁護マニュアル  そういえば、私が弁護士一年目に最初に発刊され、現在全訂版が出ている「刑事弁護マニュアル」(東京弁護士会法友会全期会刑事弁護研究会編、株式会社ぎょうせい刊)を買い直した。昔は縦書きだったのに、と思いつつ、読み進めたところ、ぎょうせいのホームページには、書式がダウンロードできるとなっていたので、ダウンロードして閲覧した。そこで、インターネット上書式集を探してみると、日弁連でも各単位会のホームページでも裁判所から提供があった書式などを提供していたので、化石化した私には、かなり驚く結果となった。例えば、第一東京弁護士会の裁判所書式では、民事・刑事通常事件、保全、破産、個人債務者再生、成年後見等申立書式、家裁における人事訴訟事件などあらゆる書式がダウンロードできるという。でも、執行はと思い、探すと東京地裁民事第21部のホームページで見ることができる。
 なんて便利な世の中になったなあと思う。

 そういえば、私も少し関与した東京地方裁判所プラクティス委員会から東京三会に提供されたエクセルによる遺留分算定計算シートは、どうしているだろうと思い、探してみると、東京弁護士会ではホームページ(http://www.toben.or.jp/know/iinkai/minjisosyou/iryuubun/)にひっそりとあった。他会会員である私でも閲覧可能であったので、誰でも閲覧もダウンロードも可能である。第一東京弁護士会では会員向けのページの中にあるので、残念ながら、他会の会員は閲覧できない。遺留分算定計算シートの使い方については、東京地方裁判所プラクティス委員会が「判例タイムズ1345号」34頁以下に掲載しているほか、東京弁護士会民事訴訟問題等特別委員会(編)による「民事訴訟代理人の実務〈2〉争点整理」(株式会社青林書院刊)を読んで頂くか、第一東京弁護士会会報平成23年3月号の私の論考を読んで頂ければ、簡単に使えるようになるし、特に日常の遺留分の相談では、簡単におおよその見通しを説明するのに便利である。遺留分の問題は、実際に相続が起きたときだけではなく、遺言書の作成依頼時にも、説明すべきであるため、有用性が高いと思う。
 実は、この遺留分算定計算シートは平成23年3月に公開されて、それ以後の改訂が行われていない。その後重要な最高裁判所の判例として平成24年1月26日判決(「判例タイムズ1369号」124頁以下)がある。この判旨である「遺留分減殺請求により特別受益に当たる贈与についてされた持戻し免除の意思表示が減殺された場合、持戻し免除の意思表示は、遺留分を侵害する限度で失効し、当該贈与に係る財産の価額は、上記の限度で、遺留分権利者である相続人の相続分に加算され、当該贈与を受けた相続人の相続分から控除されるものと解するのが相当である」という部分が私の理解としては、現在の遺留分減殺シートでは、単純には、処理することができないはずである。ここは是非、このページを読んで頂いた方に遺留分減殺シートの改訂にチャレンジして頂き、論考を書いてみて頂きたいと思う。これで、ご自身の得意分野に加えることができると思う。